レンタカー特約って要る?加入率から必要・不要なケースについて検証

 

事故で車を修理に出す際は、代車としてレンタカーを借りることが多いでしょう。

修理費用は車両保険に加入していれば軽減できますが、レンタカー代は実費です。

ただし、レンタカー特約を付帯していれば、一定額・一定期間までのレンタカー代が補償されます。

しかしながら、レンタカー特約は不要という声も少なくないため、付帯するかどうかは慎重に決めることが大切です。

そこで今回は、レンタカー特約の加入率や付帯していないユーザーの生の声などから、レンタカー特約の必要性について検証しました。

目次

そもそもレンタカー特約とは

レンタカー特約とは、自動車事故や故障などで車を修理に出す際に、保険会社がレンタカーを準備してくれるとともに、その費用の一部を代わりに支払ってくれる特約です。

「事故時レンタカー費用特約」などと呼ぶ保険会社もあります。

補償金額は保険商品で異なりますが、1日5,000~10,000円が一般的で、補償期間は30日が基本です。

レンタカー特約を付帯するメリット

レンタカー特約の付帯は必須ではありませんが、メリットを知ることで付帯に前向きな気持ちになるかもしれません。レンタカー特約を付帯するメリットは次のとおりです。

予想以上に修理期間が長くなっても経済的負担がかからない

予想以上に修理期間が長くなっても、レンタカー特約に加入しておけば経済的負担を抑えることができます。

実際にあったケースとして、新型コロナウイルス感染症の影響で修理部品の調達が遅れるトラブルがありました。そのほか、予想よりも損傷箇所がひどくて、修理に時間がかかるケースもあります。

例えば、1日7,000円のレンタカーを10日借りる場合、レンタカー代は70,000円です。しかし、修理が長引いて30日間借りることになれば、追加で140,000円もの費用がかかります。

この場合、補償金額が7,000円以上のレンタカー特約を付帯していれば、合計210,000円もの費用を負担せずに済みます

最適なレンタカーを選択しやすくなる

レンタカーはグレードによって料金が異なります。

例えば、5人家族で3列シートのワンボックスカーが必要な場合、コンパクトカーよりも高いレンタカー代を支払わなければなりません。

経済的な理由でレンタカーの種類を妥協すると、生活に支障をきたす可能性があるでしょう。レンタカー特約で5,000~10,000円の費用を保険会社が代わりに支払ってくれることで、最適なレンタカーを選びやすくなります。

自分でレンタカーを探す手間を省ける

レンタカーを借りるには、近くに店舗があるかどうかを探して、料金を比較したうえで車種やモデルを決める必要があります。

レンタカー特約を付帯すると、保険会社が条件を満たしたレンタカーを探してくれるため、自分でレンタカーを探す手間を省けます。

交通事故や故障などの直後は身辺のことで忙しくなる可能性が高いため、レンタカーを探す手間を省けるのは大きなメリットです。

レンタカー特約に加入するデメリット

レンタカー特約のデメリットは、保険料が高くなることです。

どれくらい高くなるかを調べるため、A損害保険会社でレンタカー特約を付帯しない保険料と、付帯した保険料の差額を調べてみました。下記の表をご覧ください。

補償内容年間保険料差額(付帯なしとの比較)
レンタカー特約なし73,250円/年0円
補償金額1日5,000円81,620円/年8,370円
補償金額1日7,000円84,090円/年10,840円
補償金額1日10,000円88,740円/年15,490円
算出条件は、車種:トヨタプリウス(ZVW55)、使用用途:主に家庭用、1年間の走行距離:5,000km以下、主に車を使用する方:契約者本人、運転免許証の色:ゴールド、運転する方の範囲:契約者本人のみ、対人賠償・対物賠償は無制限、同乗者の人身傷害3,000万円、車両保険260万円

1日の補償金額が10,000円ともなると、年間で15,490円もの差額が発生しています。

例えば5年間一度もレンタカー特約を利用しなければ、約75,000円を損したことになります。「安心を得る」というメリットがあるため、まるまる損したとは言い切れませんが、なるべく不要な特約はつけない方がよいでしょう。

レンタカー特約は本当に必要なのか?加入率から検証

レンタカー特約の必要性について考える際は、レンタカー特約の加入率が参考になります。

当サイト独自でインターネットリサーチを実施したところ、レンタカー特約の加入率は「加入している」が13.3%、「加入していない」が86.7%でした。このように、レンタカー特約に加入している人は一部です。

セゾン自動車火災保険株式会社の調査によると、レンタカー特約を付帯している人の割合は10.7%と、同様にそこまで高くありません。

また、同アンケートでは、「レンタカー特約を付帯していない理由」も調査し、下記の結果となりました。

「保険料に見合う価値を感じない」、「レンタカーの必要性が低い」が同列1位、「車を使用する頻度が低い」、「事故時には代替手段を用意できる」が同列2位でした。

レンタカー特約を付帯すると保険料が高くなりますが、それに見合うメリットを感じられない方が多いようです。また、レンタカーを使用する必要がないとの意見も多くみられました。

車を使用する頻度、代替手段を有無など、レンタカー特約の必要性は生活環境に左右されると考えて良いでしょう。

レンタカー特約を付帯しなくてもよいケース

上記のアンケート結果から、レンタカー特約の必要性が低く、付帯しなくてもよいケースについて詳しく見ていきましょう。

そもそも車を使用する頻度が低い

車を使用する頻度が低い場合、修理期間中に車がなくても生活に支障をきたしません。

また、車を使用する機会があったとしても、代替え手段があれば問題ないでしょう。実際にアンケートでは、「事故時はバイクでの移動を検討する」「もしもの時は家族に車を借りる」などの意見もありました。

ただし、家族などに借りる場合は、あらかじめ借りられる期間について確認しておくことが大切です。いつでも借りられると思っていたら、必要なときに借りられなかったというトラブルに注意してください。

公共の交通機関で代用できる

公共交通機関が充実しており、車の代替え手段として利用できるのであれば、レンタカー特約の必要性は低いでしょう。駅やバス停などがあれば、多くの場合は希望する場所へ行くことができます

レンタカー特約を付帯しておいた方がよいケース

基本的にはレンタカー特約の必要性はそこまで高くないと言えそうですが、次のような場合は、やはりレンタカー特約の付帯について検討するべきでしょう。

通勤や送迎などで車を頻繁に使う

長期にわたって車がないと日常生活に支障が出る環境の人はレンタカー特約の加入を考えてもいいでしょう。1日7,000円のレンタル費用がかかる車を1カ月(約30日間)使用したとなると、ガソリン代なしでも21万円と意外と大きな出費になります。

ただし、車を使う頻度は高いけれど、その時間が短くかつ近距離中心であれば、レンタカーではなくタクシーを利用した方が費用を抑えられる可能性があります。

交通の便が悪く、公共の交通機関を代用できない

近くにバス停や駅がなく、タクシーもない地域の場合は、レンタカーが必須でしょう。郊外や地方の中でも奥地に在住している場合は、交通の便が悪いケースが多く、レンタカーの必要性が高くなります。

加入前の注意点

レンタカー特約を付帯するのであれば、加入前に、次のようなポイントに注意してください。

レンタル予定の車種から1日の保険金額を設定する

1日に補償される保険金額はもしものときレンタルする予定の車種から決めましょう。

例えば、5人家族でワンボックスカーが必要であれば、保険金額を高めに設定することが大切です。

2人家族でコンパクトカーを選べるのであれば、最低金額で問題ないでしょう。また、高級車を選びたい場合は、保険金額は10,000円がおすすめです。

1日あたりの補償金額別に、レンタルできる代表的な車種を紹介しますので、保険金額を決める際の参考にしてみてください。

1日の金額車種
日額5,000円クラスカローラ、スイフト、フィット、ノートなど
日額7,000円クラスプリウス、ヴェゼル、CX-3、インプレッサなど
日額10,000円クラスマークX、エクストレイルなど

なお、あえて多少の自己負担を覚悟して、1日あたりの補償金額を安めに設定し、保険料を節約するという選択肢も有りです。

事故発生日の翌日から1年以内に利用開始するタイプを選ぶ

補償期間は多くのレンタカー特約で30日となっていますが、タイプによって補償期間の起算日が異なります。

タイプ1……事故発生日の翌日から1年以内にレンタカーを借りる場合において、利用開始日から30日間の費用を補償する

タイプ2……事故発生日、修理工場へ預けた日、警察に盗難届を提出した日から30日間の費用を補償する

タイプ2の場合、事故発生日から30日間となるため、実際にレンタカーを借りるまでに日が空いたときに、レンタカー特約のメリットを感じにくくなります。

まとめ

車の事故や盗難の際に、車の代替手段がなく、かつ利用頻度が高い人はレンタカーの必要性は高いといえるでしょう。

その際の経済的負担を少しでも抑えたい場合は、レンタカー特約の加入を検討してみてはいかがでしょう。

筆者自身の個人的な体験談を話すと、物損事故を起こし車を修理に出したのですが、部品がなかなか手に入らなく修理が長期間に及びました。その際に、レンタカー特約の補償があったので出費を抑えることができとても助かった記憶があります。

今回、解説した内容を参考に、レンタカー特約の必要性を判断するとともに、最適な補償内容を選択しましょう。

【監修者】大場 信宏
株式会社トラストライフ シニアプランナー
生・損保の問題解決を専門にお話しをしています。
経歴:保険業界20年以上勤務。

<保有資格>
・AFP(日本FP協会認定)
・2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
・シニアライフコンサルタント
・住宅ローンアドバイザー
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