不動産担保ローンはカードローンやフリーローンよりも高額、しかも低金利で融資を受けられる多目的ローンです。
しかし、不動産を担保にするため財産を失う可能性があり、無担保ローンより融資までの手続きが複雑、などの側面も持ちます。リスクも十分に考慮しなくてはいけません。
ここでは、おすすめの不動産担保ローンやメリットとデメリット、融資までの流れや審査通過のポイントをランキング形式で紹介します。
不動産担保ローンおすすめ11選
企業名 | 金利 | 実質年率 | 融資額 | 審査スピード | 融資期間 | 融資対象 |
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AGビジネスサポート | 2.49%~14.8% | 年率と同様 | 100万円~ 5億円 | 最短3日 | 最長30年 | 法人 個人事業主 |
セゾンファンデックス | 変動2.75%~4.55% 固定4.5%~9.9% | 15.0%以内 | 100万円~ 5億円 | 最短1週間 | 5年~ 25年 | 法人 個人事業主 |
アサックス | 1.95%~6.9% | 15.0%以下 | 300万円~ 10億円 | 正式申込後 最短3日 | 最長30年 | 個人 法人 個人事業主 |
つばさコーポレーション | 4.0%~15.0% | 15.0%以内 | 上限なし | 最短即日~ 1週間 | 最長30年 | 個人 法人 個人事業主 |
日宝 | 4.0%~9.9% | ー | 50万円~ 5億円 | ー | 1ヶ月~ 30年 | 個人 法人 個人事業主 |
マテリアライズ | 5.0%~9.8% | 15.0%以下 | 100万円~ 1億円 | 最短翌営業日 | 1ヶ月~ 20年 | 個人 法人 個人事業主 |
東京スター銀行 スター不動産担保ローン | 変動0.875%~7.85% 固定1.35%~8.55% | ー | 100万円~ 1億円 | 1週間程度 | 1年~ 20年 | 個人 法人 個人事業主 |
東京スター銀行 スター不動産担保ビジネスローン | 3.75%~6.0% | ー | 500万円~ 3億円 | 約3週間 | 最長30年 | 個人 法人 個人事業主 |
関西みらい銀行 | 2.0%~9.8% | ー | 100万円以上 1億円以内 | ー | 12ヶ月以上 25年以内 | 個人 個人事業主 |
住信SBIネット銀行 | 2.95%~8.9% | ー | 300万円~ 1億円 | 3週間~ 1ヶ月程度 | 最長35年 | 個人 |
楽天銀行 | 0.79%~9.55% | ー | 100万円~ 1億円未満 | 最短3週間 | 最長25年 | 個人 |
みずほ銀行 | 変動2.975% | ー | 100万円以上 1,000万円以内 | ー | 1年毎自動更新 (満70歳まで) | 個人 |
AGビジネスサポート 不動産担保ローン

- 手数料、保証料無料で融資を受けられる
- 審査が柔軟で、担保は2番抵当以下でも対応可能
必要書類
- 法人:代表者の本人確認書類、決算書、固定資産評価証明書(名寄台帳)、各種納税証明書、担保物件に先順位の借入がある場合は返済予定表、現在の残高が分かる書類
- 個人事業主:本人確認書類、確定申告書、固定資産評価証明書(名寄台帳)、各種納税証明書、担保物件に先順位の借入がある場合は返済予定表、現在の残高が分かる書類、同社指定の事業内容確認書
事業者ローン専門の金融企業、AGビジネスサポートが提供する不動産担保ローンは、原則保証人不要で利用できます。しかも抵当順位は問いません。
カードローン・ビジネスローン・開業支援ローンの3種類が用意されており、希望に応じた商品が選択可能です。限度額はカードローンが最高5,000万円(個人事業主は2,000万円)、ビジネスローンは最高5億円です。
登記費用や印紙などの実費は必要なものの、手数料や保証料は不要です。
セゾンファンデックス 不動産担保ローン

- 審査スピードが速く最短3営業日で審査結果が判明(簡易審査は最短1日)
- 不動産担保能力を重視しているため銀行の審査が落ちても可能性がある
必要書類
- 個人・個人事業主:本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、住民票(世帯全員の記載)、収入証明書(源泉徴収票、給与明細書、確定申告書など)、税金の未納がないことを確認できるもの(納税証明書など)、担保となる不動産のローン残高を確認できるもの、実印、印鑑登録証明書(3か月以内のもの2通)、銀行届出印、登記済権利証、登記識別情報通知書
- 法人:法人代表者の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、法人代表者の住民票(世帯全員の記載)、法人代表者の収入証明書(源泉徴収票、給与明細書、確定申告書など)、法人の本人確認書類、商業登記簿謄本、決算報告書(直近2期分)、法人および担保提供予定者の納税証明書(固定資産税・所得税・住民税など)、担保となる不動産のローン残高を確認できるもの、実印、印鑑登録証明書(3か月以内のもの2通)、銀行届出印、登記済権利証、登記識別情報通知書
セゾンファンデックスの不動産担保ローンは、個人・個人事業者・法人が対象です。個人向けの利用限度額は3,000万円ではあるものの法人・個人事業主向けは5億円と高額です。
特徴は審査スピードの速さです。簡易審査は最短1日で審査結果が判明し、本審査は最短3営業日で結果の回答が可能です。
また、事業者向けの不動産担保ローンでは不動産担保能力を重視します。そのため、銀行の審査が通らなかった方でも担保や返済能力に問題ないと判断されれば融資が行われます。
アサックス 事業者向け・個人向け不動産担保ローン

- 不動産担保ローン・不動産担保融資専業で豊富なノウハウあり
- ノンバンクでありながら低金利で提供
必要書類
本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、収入を確認できる書類(決算書、確定申告書など)
※申し込み時
アサックスは1969年に設立された不動産担保ローンの専門企業です。数多くの融資実績があるため豊富なノウハウを持ち、上場企業の安心感も兼ね備えています。
アサックスはノンバンクでありながら銀行並みの条件で融資を行っています。金利は1.95%~6.90%と低金利で、利用限度額は最高10億円と高額です。しかも銀行では難しい最短3営業日で結果が判明する審査スピードを持ちます。
ただし、対象エリアは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の一部と限定されています。全国の物件に対応ができないのでご注意ください。
つばさコーポレーション 不動産活用ローン・不動産ビジネスローン

- 融資額の範囲が提示されていないため高額融資を受けられる可能性あり
- 最短1週間で融資実行が可能と申し込みから融資までのスピードが速い
※必要書類は直接お問い合わせください
つばさコーポレーションは全国展開して融資に対応しています。「不動産活用ローン」は個人向け、「不動産ビジネスローン」が個人事業主・法人向けの商品です。
つばさコーポレーションの不動産担保ローンの商品概要には融資額が明記されていません。担保となる不動産の評価次第ではあるものの高額の融資が期待できます。
通常、適用される金利は4.0%~15.0%です。しかし、一定の条件を満たすと金利が優遇される「不動産スーパーサポートローン」も用意されています。不動産スーパーサポートローンの金利は3.8%~7.8%とお得に借入ができます。
つばさコーポレーション 不動産活用ローン・不動産ビジネスローン
日宝 不動産活用ローン

- 40年以上の豊富な実績があり様々なニーズに対応可能
- 担保となる物件の抵当順位は問わない
必要書類
身分証明書(運転免許証、パスポート等)、収入証明書(個人は源泉徴収票、自営業は確定申告書、法人は決算申告、土地・建物登記簿謄本、住宅地図、公図、地積測量図、建物図面、マンションの場合間取り図のあるパンフレット等、返済予定表、法人登記簿謄本、定款(法人経営者)
日宝は40年以上の歴史を持つ不動産担保ローンの専門企業です。個人・事業者・法人いずれも対応しており、対象エリアは日本全国です。
金利は4.0%~9.9%と低金利のためお得に利用できるうえに、最短即日融資も可能な審査スピードもあります。
審査の柔軟さは日宝の特徴の一つです。担保の抵当順位は問わない上に、借地・底地・共有持分・収益物件・調整区域の物件も担保となる可能性があります。
マテリアライズ 不動産担保ローン

- 即日審査で最短翌日の融資が可能なスピード融資
- 審査が柔軟で他社の審査が通らなくても可能性あり
※必要書類は直接お問い合わせください
マテリアライズは2016年設立と比較的歴史が浅い不動産担保ローンを提供している企業です。全国の物件に対応可能で、場合によっては申し込みから契約まで物件がある現地で行えます。
メリットは融資スピードと審査の柔軟さです。審査に関しては決算内容が赤字でも、また、信用情報に不安がある方でも相談可能、といったスタンスです。
LINEでの対応も可能なため気軽に、かつタイムリーな相談ができます。
東京スター銀行 スター不動産担保ローン・スター不動産担保ビジネスローン

- 最低金利0.85%と低金利で融資を受けられる
- 団体信用生命保険付きローンの選択が可能
必要書類
※スター不動産担保ローン
本人確認書類(運転免許証もしくは個人番号カード、健康保険証、住民票<世帯全員>)、収入証明書類(個人:源泉徴収票、住民税課税証明書、会社経営者:源泉徴収票、法人決算書類一式、住民税課税証明書、年金受給者:年金振込通知書、住民税課税証明書、確定申告をされている方:確定申告書、所得税納税証明書<その1,その2およびその3>)、納税に関する書類(固定資産納税証明書、住民税納税証明書、国民健康保険税納付済証明書、管理費等の引き落としが分かる資料)、資金使途に関する資料(利用中のローンの資料、資金の使い道が分かる資料)
東京スター銀行では2種類の不動産担保ローンがあります。個人を対象としたスター不動産担保ローンと法人向けのスター不動産担保ビジネスローンです。
スター不動産担保ローンは最低金利が0.85%と非常に低金利であり、また団体信用生命保険にも加入できます。返済の負担が少ないローンです。
信頼性も高く安心して利用できますが、審査の厳しさや審査期間が長いなどの注意点もあります。
東京スター銀行 スター不動産担保ローン・スター不動産担保ビジネスローン
関西みらい銀行 フリーローン 不動産担保型

- 安定した収入があればパート、アルバイト、学生でも利用可能
- 団体信用生命保険に加入できる
※必要書類は直接お問い合わせください
りそなグループで関西に拠点を置く関西みらい銀行では、不動産担保型のフリーローンを取り扱っています。フリーローンは事業資金での利用を禁止されている場合が多いものの、この商品では利用可能です。
銀行ならではの低金利のローンで、上限金利が10%以下で利用できます。また、団体信用生命保険(がん保証付きプラン)にも加入できるので万が一の時にも安心です。
事業資金として利用したい場合、営業地域内に居住もしくは勤務していないと利用できないのでご注意ください。
住信SBIネット銀行 不動産担保ローン

- 仮審査はインターネット上で全て完了
- 上限金利は9%以下の低金利で融資を受けられる
必要書類
本人確認書類(運転免許証、個人番号カード、健康保険証など)、収入証明書類・担保関係書類(申し込んだ方の状況によって異なります。直接ご確認ください)
住信SBIネット銀行の不動産ローンはネット銀行の強みを活かし、仮審査はネット上で全て完了します。仮審査、本審査、契約の3回とも訪問や郵送が必要なローンよりも手間が省けます。
適用されている金利は2.95%~8.9%と、上限金利が9%以下の低金利で利用できるのは特徴のひとつです。返済総額を考慮すれば返済の負担が少ないローンです。
申込みの利便性や低金利に強みを持つ反面、申込みから借入まで1ヶ月程度の時間がかかる可能性があります。時間に余裕がある人向けのローンと言えます。
楽天銀行 不動産担保ローン

- 店舗へ訪問せずに契約が完了する
- 繰り上げ返済手数料は必要なし
必要書類
本人確認書類、収入証明書類、担保関係書類(申し込む方によって異なるため仮審査通過後に案内)
楽天銀行はネット銀行のため店舗がありません。そのため、申込みから契約まで店舗に訪問せずにWEBと郵送のみで完了します。忙しい方にとっては助かるでしょう。
特徴のひとつに「繰上返済手数料が無料」といった点が挙げられます。多くの不動産担保ローンは繰上返済手数料が有料ですが、楽天銀行は余裕があれば好きな時に元金を減らせます。
複数の不動産の担保が可能なため、それぞれの物件の価値によっては高額融資も望めます。
みずほ銀行 ホームエクイティローン「みずほプレジャーエイジ」

- カードローン型なのでATMでいつでも借入・返済ができる
- 一般の無担保ローンより低金利で利用できる
※必要書類は直接お問い合わせください
みずほプレジャーエイジは、自宅の評価額から住宅ローンなどの残債を差し引いた金額を融資するタイプの不動産担保ローンです。カードローンタイプなので何度も利用できます。
何度も利用できる利便性を持つ反面、利用限度額が1,000万円と他の不動産ローンと比較すると物足りなく感じるかもしれません。
また、申込み条件が厳しいので注意が必要です。例えば、担保となる物件の所有は申し込み者もしくは配偶者の共有でないと認められません。さらに、第一抵当権の設定が可能、店舗などではなく純粋な自宅でないと担保として認めらないなどの条件もあります。
みずほ銀行 ホームエクイティローン「みずほプレジャーエイジ」
不動産担保ローンとは?徹底解説

不動産ローンとはどのような性格を持つローン商品なのでしょうか。不動産担保ローンの特徴を紹介します。
不動産ローンとは
不動産担保ローンとは、その名の通り不動産(土地、家屋、マンション、店舗など)を担保にしてお金を借りるローンです。銀行やノンバンク、ろうきんなどの金融機関がサービスを提供しています。
担保がある分無担保で融資を受けられるフリーローンやカードローンよりも低い金利で高額の融資を受けられます。返済できなくなった場合担保を売却すれば返済が可能です。
高額な融資を低金利で利用できる不動産担保ローンですが、融資を受けるまでのプロセスが多く審査基準も各金融機関によって異なります。
不動産担保ローンと住宅ローンとの違い
不動産を担保にしてお金を借りる方法には不動産担保ローンの他に住宅ローンがあります。2つのローンの大きな違いは資金の使用目的です。
住宅ローンは自宅の購入や増改築にしか利用できません。一方で不動産担保ローンは自宅の購入資金だけではなく事業性資金、納税資金など様々な目的で利用できます。
また、不動産担保ローンは担保となる不動産の種類が幅広い、といった点も住宅ローンとの相違点です。
不動産担保ローンをすすめたい方とは
不動産担保ローンは自身もしくは家族が不動産を所有していないと利用できませんが、特におすすめしたいのは下記のような方です。
- まとまった金額の借入をしたい
- 総量規制以上の借入を行っていてカードローンが利用できない
- 金利の低い金融機関に借り換えて返済の負担を減らしたい
- 複数社からの借入を一社にまとめたい
- 高齢でカードローンやフリーローンの利用できない
いずれも「高額融資かつ低金利」ならではの特性を活かしています。
不動産ローンを提供している金融機関
不動産担保ローンを提供している金融機関は、大きく分けると「銀行系」と「ノンバンク系」の2種類です。ノンバンク系とは、専門業者や消費者金融や信販会社など、「貸付を専門に行う」いわゆる貸金業者です。
一般的に「銀行は低金利ではあるものの審査が厳しい」「ノンバンクは金利が高いものの審査に柔軟」と言われています。借入の目的や緊急度によってどの金融機関を選択するかは変化します。
なお、銀行やノンバンク以外にもろうきんが不動産担保ローンを提供しています。
不動産担保ローンのメリット

不動産担保ローンが持つ主なメリットを紹介します。
高額な融資を受けられる
カードローンやフリーローンの利用限度額は数百万円程度で、最も高額な限度額でも1,000万円程度です。
一方で大抵の不動産担保ローンの最低融資額は100万円以上で、利用限度額は1億円以上と定めています。しかも総量規制の対象外のため、カードローンやフリーローンで借入ができない高額な融資を受けられます。
ただし融資される金額は不動産の評価額によって大きく変わります。
低金利で借入ができる
不動産担保ローンは無担保のカードローンやフリーローンよりも高額な金額を低金利で借入ができます。100万円以上の融資の場合、多くのカードローンやフリーローンの金利は下限が4%程度で上限を15%程度です。
銀行が提供している不動産担保ローンの金利は1%台から10%を切る利率です。中には最低金利が1%以下の商品もあります。銀行と比較して金利が高いとされるノンバンクでも多くは上限金利を10%以下に設定しています。
カードローンやフリーローンよりも利息の支払いの負担が少ないローンです。
長期間の借入が可能
ある程度まとまった金額の借入ができるフリーローンの返済期限はだいたい10年程度で、長いものでも15年です。しかし不動産担保ローンは返済期限を20年~30年としています。毎月の支払いを抑えられるため余裕を持って返済できます。
また、利用条件に年齢制限があるため、年齢制限に近い年齢で契約すると返済期限が通常より短期間で設定されます。
家族や親族所有の不動産の活用ができる
不動産担保ローンでは、担保となる不動産の所有者が利用者である必要はありません。一親等(親、子ども)や二親等(祖父母、孫、兄弟姉妹)、三親等(曽祖父母、叔父・叔母、姪・甥)所有の不動産でも可能です。
家族や親族が所有する不動産の場合、どこまでの家族や親族までであれば申し込みできるかは金融機関によって異なります。二親等までしか認めていない会社もありますし、配偶者までしか認めていない場合もあります。
家族や親族の不動産を担保にする際は、所有者に同意書の提出や連帯保証人になってもらう必要があります。
不動産担保ローンのデメリット

不動産担保ローンを利用するには注意しなくてはいけない点があります。デメリットも紹介します。
所有している不動産を失う可能性がある
不動産担保ローンでお金を借りた場合、返済ができなくなると担保である不動産が売却され返済に充てられます。大切な財産を失いますし、自宅を担保にしていると住む家を失ってしまいます。
担保が売却されるのは返済ができなった場合だけではありません。返済を長期間延滞し、督促に応じなかった場合は「返済能力や返済の意思なし」と判断され担保が売却されてしまいます。
返済ができなくなるのは「職を失い収入がなくなった」だけではありません。病気や障害などで就業ができなくなるケースもあるでしょう。万が一の場合も想定しながら利用する必要があります。
提出書類が多い
カードローンやフリーローンは本人確認書類と収入を証明できる書類さえ用意できれば利用できます。しかし、不動産担保ローンに申し込むにはこれらの書類に加え、様々な書類を提出する必要があります。
- 印鑑証明書
- 決算書類
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産税納付書
- 商業登記簿謄本 など
しかも利用者が個人なのか、個人事業主なのか、法人かによって提出する書類が異なります。当然ながら不備があると審査通過ができません。
提出書類の中には役所に行かないと取得できないものもあります。不動産担保ローンは申し込みまでにも手間がかかるローンとお考えください。
融資までに時間がかかる
大手消費者金融のカードローンは申し込んでから最短1時間程度でお金を借りられます。一方で不動産担保ローンは申し込んでからお金を借りられるのは1週間から1ヶ月程度の時間を要します。
これは担保である不動産の評価を鑑定する必要があり、また、複数の提出書類の精査をしなければいけないからです。どうしてもカードローンのような審査スピードは望めません。
不動産担保ローンの利用は時間に余裕のある方でないと融資を受けられない、と考えたほうがよいでしょう。
手数料などの費用が必要
カードローンやフリーローンは申し込みから契約、借り入れても費用は発生しません。費用は返済時の利息のみです。
不動産担保ローンを利用すると様々な費用が発生します。
- 事務手数料
- 不動産の鑑定費用
- 印紙代
- 抵当権や根抵当権の登記費用
もし建物を担保にする際に火災保険に加入していなければ保険料も必要になります。
また、返済時にも支払う利息以外に費用が発生する場合もあります。具体的には、金利や借入の条件変更の手数料や繰り上げ返済で発生する違約金です。
カードローンでは繰り上げ返済を行う際手数料は発生しません。しかし不動産担保ローンでは「設定した期間内での完済」を前提として契約しています。そのため、一括返済を行うと途中解約扱いとなり違約金を請求されるかもしれないのです。
もし繰り上げ返済も視野に入れて返済計画を立てるのであれば、繰り上げ返済に対する対応も確認してください。
不動産担保ローンを選ぶポイント

現在、数多くの金融機関で不動産担保ローンを取り扱っています。希望に合致した最適な商品を選ぶにはどこに注目すればよいのか、選択のポイントを解説します。
金融機関が信頼できるかどうか
大切な不動産を担保にする不動産担保ローンは信頼できる金融機関で利用したいものです。利用した金融機関が倒産した、トラブルに巻き込まれたなどの状況は絶対に避けなければいけません。
検討している金融機関があれば、営業の年数や融資実績、口コミ情報を確認してください。特に一般的に認知度の低い金融機関は慎重に検討しましょう。
対応できる地域の確認
不動産担保ローンは各社によって対象としている利用者が異なります。利用者の居住地や担保となる不動産の所在地も一つの項目です。
全国各地の利用者や不動産を対象にしている金融機関もあれば、営業地域内のみしか対応していない金融機関もあります。
いくら希望する条件を揃えたローン商品だったとしても対象地域外であれば利用できません。対応可能な地域はどこなのかは金融機関選びの際には初期段階で確認してください。
金利・融資金額・手数料の比較
お金を借りる際にもっとも重視するのは「いかに支払う利息を抑えられるか、いかに高額融資を受けられるか」のはずです。金利や利用限度額は大きな選択ポイントです。
価値が高い不動産を担保にしても、限度額が低い金融機関に申し込めば高額融資は受けられません。そのような不動産担保ローンに申し込むのはもったいない話です。
金利に関しては、たとえ金利が低い金融機関があったとしても手数料が高額であれば融資の金額次第ではお得とは言えなくなります。金利の数値だけ確認するのではなく手数料もチェックしましょう。
融資スピードはどの程度なのか
前述の通り不動産担保ローンは一部のカードローンのように申し込んだその日には融資を受けられません。最短で数日で融資を行う金融機関もありますが、中には1ヶ月以上かかる金融機関もあります。
できる限り早くお金を借りたい方にとって金融機関の融資スピードは選択のポイントになるでしょう。
実際融資までの期間はだいたいどの程度なのか、担当者に確認に確認してください。
病気や事故にあった時に保障があるかどうか
長期間のローンを利用している最中に、どうしても返済ができなくなる状況に陥ってしまう可能性があります。
例えば勤務先が倒産した、ガンなどの重篤な病気になった、事故にあったなどです。契約者が死亡する、といった事態も可能性はゼロではありません。
このような万が一の状態になったためのリスクヘッジがあるかどうかも不動産担保ローンの選択肢にしてください。
金融機関の担当者の対応
不動産担保ローンは一般に生活をしていると馴染みのない用語が数多く出てくる上に手続きが複雑です。大切な財産を担保にして高額なお金を借りるのですから納得して契約したいものですが、納得できるかどうかは担当者次第、と言えます。
明確でわかりやすい説明、さらに細かい疑問にもきちんと回答できる担当者であれば納得して契約できるでしょう。逆に信頼できない担当者と懸念や疑問が残ったまま話をすすめると後でトラブルに発展するかもしれません。
担当者が丁寧で誠実で安心して任せられるかどうかは不動産担保ローン選びに大きなポイントになるのです。わかりにくい説明、高圧的な態度、誠意を感じない担当者の不動産ローンはおすすめしません。
不動産担保ローンの審査を解説

カードローンやフリーローンと比較すると不動産担保ローンの審査の手続きは複雑で手間がかかります。不動産担保ローンの審査を解説します。
不動産担保ローンの審査の流れ
不動産担保ローンの申し込みから融資までの流れは、
となります。それぞれの項目について解説します。
仮審査
利用したい金融機関を決定したら、まずは仮審査に申し込みます。申し込み方法はWEBサイトや電話などで、その際に希望金額や担保となる不動産情報、個人情報などの基本情報を申告します。
申告された情報をもとに仮審査が行われ、申し込んだ方の属性や信用情報が確認されます。属性とは年齢や家族、収入や勤務状況、住居などの情報で、信用情報は借入状況や過去のローンの利用状況です。
店舗での手続き
仮審査の結果であれば、本人確認書類や収入証明書、印鑑を持参して金融機関の店舗に訪問し、担当者と面談します。
面談では、不動産担保ローンの商品説明を受けて本審査の申し込み手続きを行います。さらに担保となる不動産の現地調査のスケジュール調整を行います。
本審査前の手続きは店舗で行われるのが一般的ですが、昨今WEBのみで手続きが完了する不動産ローンも増えています。
不動産の現地調査
金融機関の担当者による現地調査が行われます。調査の内容は、
- 物件が本当に存在しているかどうかの確認
- 大まかな積算評価や固定資産税評価の算出
- 物件の痛み具合の確認
- 周辺の不動産会社への聞き取り
などです。所要時間は1時間程度もあれば完了します。
現地調査には立会う必要はないものの、担保が自宅の場合は必然的に立ち会うことになるでしょう。
また、担当者から立会いを求められた場合はできる限り参加しましょう。手続きがスムーズに進みます。
本審査
審査に必要な書類の提出並びに現地調査が完了すれば本審査が開始されます。
審査では、様々な情報と担保となる物件の評価額と返済能力に基づき融資の可否や限度額を決定するため、慎重かつ綿密に行われます。
契約
本審査が通過すれば契約の手続きが行われ、必要な手数料の支払いはこの段階で行われます。
ほとんどの場合手数料は改めて支払われるのではなく融資額から差し引かれます。契約内容によっては手数料が数十万円となると借入はその金額分を差し引いた額、となります。
融資を受けたものの希望金額には届かなかった、などの事態にならないように希望金額はよく考えて決定し申請する必要があります。
不動産担保ローンの審査に必要な書類
カードローンやフリーローンと比較すると不動産担保ローンは数多くの書類の提出を求められます。代表的な書類を紹介します。
申し込む方の本人確認書類
- 運転免許証、パスポート、健康保険証など公的な身分証明書
- 家族全員が記載された住民票
- 印鑑証明書
※連帯保証人が必要な場合には連帯保証人の分も必要です。
収入を証明する書類
収入を証明する書類に関しては申し込む方の雇用形態によって異なります。
①給与所得者 | ・源泉徴収票 ・住民税決定通知書 |
②個人事業主 | ・確定申告書 ・納税証明書 ・法人決算書類一式 |
③法人経営者 | ・①と②の書類 ・住民税課税証明書 ・法人納税証明書 など |
担保となる不動産に関する書類
- 不動産登記簿謄本(土地・建物)
- 評価証明書
- 住宅案内図や地図
- 建物の間取図、立面図、配置図(建物)
- 建物確認通知書、建物検査済証(建物)
- 公図・地積測量図(土地)
- 建物の配置図・建物平面図(建物)
法人契約の場合は法人登記簿謄本や償還表が必要になります。
もし資金の使途が物件購入であれば売買契約書や重要事項説明書、工事請負契約書(建物の新築・増改築の場合)が必要です。物件が投資用であれば賃貸契約書やレントロールを用意したほうがよいでしょう。
申し込む前には必ず金融機関のWEBページで確認してください。
審査で重視されるポイントとは?
- 申し込んだ方の返済能力(安定した収入があるか、個人信用情報に問題はないのか)
- 担保となる不動産の価値
まず返済能力に関して、不動産担保ローンでお金を借りると毎月必ず返済しなければいけません。そのため、安定した収入があるかどうかは返済能力の有無を判断する大きな要素です。
個人信用情報とは他社の借入状況や返済状況の情報です。正規の金融機関でローンやクレジットを利用すると必ず信用情報機関に記録されます。
また、担保となる不動産の価値は融資額を決定する大きな要素になるのはご理解いただけるでしょう。一般的に不動産担保ローンの融資額は不動産価値の60%~80%と言われています。
ただし、不動産担保ローンの審査では事前の不動産評価より下がる可能性もあります。申し込む前の段階では融資額を不動産価値の50%~70%と見積もれば実際の融資額となるでそう。
不動産担保ローンの審査での注意点

不動産担保ローンの利用を考えているのであれば、どうしても審査は通りたいものです。審査に通るために、不動産担保ローンに通るためのコツを紹介します。
審査が甘い・通りやすい不動産担保ローンとは?
不動産担保ローンの審査基準は各金融機関によって異なり、しかも非公開です。比較や審査基準が不明のため審査が甘い不動産担保ローンは存在しないと言えます。
ただ、審査に通りやすい不動産担保ローンは存在します。その特徴を紹介します。
ノンバンク
カードローンやフリーローンなど他のローン商品にも共通しますが、銀行ローンはノンバンクより審査が厳しいと言えます。銀行は低金利で融資を行うため審査を厳格に行うのは当然です。
ノンバンクが銀行より審査が柔軟な理由にビジネスが限られている点も挙げられます。銀行は融資だけではなく為替や保険の販売、投資信託業務など様々な業務を行っています。
金利が高い
金利が高い不動産担保ローンは審査に柔軟と言えます。金利を高く設定すると支払われる利息が多いため元金の回収が早期に完了します。
審査基準を多少低くしても短期間で元金が回収できればその分貸し倒れのリスクは軽減します。
不動産の条件が幅広い
ノンバンクの不動産ローンに見られますが、担保となる不動産の条件を広げて融資を行う場合があります。このような金融機関は比較的審査に柔軟です。
多くの銀行では担保となる不動産が第一順位でないと融資を断ります。しかし中には第二順位以降の物件でも審査する金融機関があります。たとえ抵当権が二番手以降でも融資を行う可能性があるのです。
対象エリアを限定している
地域密着型の不動産担保ローンは全国対応可能な金融機関より審査に柔軟です。
これらの金融機関は全国の融資に対応している不動産ローンよりビジネスチャンスが限られています。そのため限られた案件の中でできる限り利益を挙げなければいけません。
ちなみに、地域密着型の不動産担保ローンは担保となる物件の情報を詳細に把握できます。そのため物件の評価額を適正価格で査定します。地域密着型の不動産ローンの大きなメリットです。
審査に通りやすい人
不動産担保ローンは担保が用意でき、安定した収入がある方であれば審査通過は難しくはないでしょう。金融機関にしてみれば、返済が難しくなれば担保を売却すれば貸し倒れが防げるからです。
注意していただきたいのは融資の希望金額です。いくら担保となる物件があっても、その価値が希望金額を下回ると審査通過が難しいかもしれません。
審査が通りにくい人
安定した収入があり担保となる物件があったとしても審査に通過しない可能性がある方もいます。代表的なのは下記のような方です。
住宅ローンが残っている物件を担保にする
住宅ローンで購入した物件を不動産担保ローンで担保にすると審査が通りにくくなります。
住宅ローンが組まれている物件の第一抵当権は住宅ローンの会社が持ちます。そのため、もし不動産担保ローンを利用しても、その金融機関の抵当権順位は第2順位以降です。
また、住宅ローン中の物件を担保にすると融資金額にも影響します。もし不動産評価額が3,000万円の不動産を担保にしても、住宅ローンの残債が2,000万円であればその不動産の価値は1,000万円となります。
不動産担保ローンの審査に通過しても融資額が想定を下回るかもしれません。
信用情報に傷がある
ローンやキャッシングの利用状況は信用情報機関に登録され、金融機関は審査の際に照会します。もし信用情報にネガティブな情報が記録されていれば審査の通過が難しくなります。
これらの情報は永遠に記録されているわけではなく5年から10年で削除されます。しかし記録されている間は基本的に正規の金融機関からの融資は受けられないとお考えください。
また、信用情報機関には返済状況を記録されるため、審査で返済の実態は一目瞭然です。返済が滞納しがちな方は審査に悪影響を与えます。
なお、滞納はローンやクレジットの返済だけではなく税金にもご注意ください。もし、金融機関の返済日の前に納税の期限日があると税金の支払いが優先されます。
いくらお金を用意していても納税期日を勘違いしたばかりに残高不足になり引き落とされないなどの事態もありうるのです。
不動産担保ローンのよくある質問
- 資金使途は制限される?
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銀行とノンバンクによって対応が分かれます。銀行の不動産担保ローンの中には事業資金の利用は禁じているなど利用目的を制限しているものもあります。
ノンバンクの不動産担保ローンは資金使途を制限していません。起業資金など含め自由に使用できます。
- 保証人は必要?
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基本的には必要はないものの、審査で金融機関が必要と感じた場合は用意しなければいけません。
また、担保となる物件が家族や親族の名義や共有物件だった場合、物件の所有者が保証人になる必要があります。
- 住宅ローンが残っていても利用できる?
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利用可能です。ただし通常の物件よりも審査基準が高くなります。また、融資可能額は想定金額に届かない可能性が高いです。
不動産価値の高い物件でも、査定される金額が不動産評価額から住宅ローンの残債を差し引いた金額を基準に算定するからです。
- 古い物件でも担保にできる?
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できます。たとえ古い物件でも価値が認められれば担保と認められます、また、物件の評価が低くても土地の評価が高ければ融資を受けられます。
- リバースモーゲージとはなに?
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不動産を担保にして金融機関から融資を受ける方法にリバースモーゲージがあります。これは、住居を担保にしてお金を借り、元金の返済は利用者が亡くなるまで猶予されるローン商品です。元金は利用者が亡くなった後に担保となる不動産の売却によって返済されます。
リバースモーゲージは毎月の支払いは利息のため、返済の負担が少ない不動産担保ローンです。ただし、利用対象者は高齢者に限られ、資金使途を制限している金融機関があります。