他人に怪我をさせたり他人の物を壊したりした場合、損害賠償責任を負います。
場合によっては数千万円から数億円以上もの損害賠償請求をされるため、事前にしっかり備えておきたいという方も多いでしょう。
そのような方が加入を検討するべき保険が「個人賠償責任保険」です。
ここでは、個人賠償責任保険の補償内容やおすすめの加入方法などについて詳しく解説します。
個人賠償責任保険とは
個人賠償責任保険とは、自分や家族が他人の物を壊したり怪我をさせたりした際の損害賠償を補償する保険です。
例えば、子どもが友達のおもちゃを壊した際に、相手の親が「壊したおもちゃを弁償してほしい」と言った場合、それを断ることはできません。
個人賠償責任保険に加入していれば、契約内容に基づいた限度額の範囲内で損害賠償を補償できます。
ただし、個人賠償責任保険は、あくまでも他人の体や所有物に損害を与えた場合の損害賠償に備える保険です。
そのため、他人に精神的なダメージを与える発言をしたり、プライバシーを侵害したりした場合の損害賠償は補償できません。
個人賠償責任保険の対象になるのは下記のようなケースです。
- 店の商品を落として壊した、汚した
- 子どもが友達のおもちゃを壊した
- 自転車で人に当たってしまった
- 飼い犬が他人を噛んで怪我をさせた
続いて、支払い対象にならないケースを紹介します。
- 契約者、被保険者の故意による損害
- 同居の親族に対する損害
- 被保険者が職務を執行するうえで起きた損害
- 被保険者の心神喪失状態における損害
- 車の使用や管理に関することが原因で起きた損害
上記はあくまでも一例で、他にも支払い対象にならない条件が定められている場合があります。
個人賠償責任保険の加入方法は3つのパターンがある
個人賠償責任保険に加入する方法には、次の3パターンがあります。
- 単独の個人賠償責任保険に加入する
- 他の保険の付帯として個人賠償責任保険に加入する
- 個人賠償責任保険が付帯されているクレジットカードを契約する
上記いずれも、補償範囲や補償額などに大きな違いはありません。優劣が小さいため、自身に合った方法で加入するとよいでしょう。
単独で加入する
単独の個人賠償責任保険は、2023年時点でほとんど存在しません。単独の個人賠償責任保険の存在はいくつか確認されているものの、かなり数が少ないと考えて良いでしょう。
他の保険の付帯として加入する
個人賠償責任保険の多くは、火災保険や自動車保険などの保険に付帯していたり、特約としてつけるケースがほとんどです。
名称は、「個人賠償責任補償特約」や「個人賠償責任追加プラン」などで、保険商品によって異なります。
特約は、メインの補償内容につけるオプションであるため、個人賠償責任保険としての補償内容は充実していないのでは?と思うかもしれません。
実際には、対象者が自分と家族で、補償額が1億円以上といった充実した内容になっているケースもあります。
付帯されているクレジットカードを契約する
クレジットカードに、個人賠償責任保険が付帯されている場合があります。
特別な手続きを踏むことなく、自動で付帯されるカードがほとんどです。持っているクレジットカードに個人賠償責任保険が付帯されていないか確認してみてください。
クレジットカードには、通常カードやゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードといったランクが設けられており、ランクが上がるほどに個人賠償責任保険の補償内容が充実していることが一般的です。
加入する前に確認しておきたい5つのポイント
個人賠償責任保険に加入する際は、「補償範囲」「補償額」「保険料」「示談交渉サービスの有無」「支払い対象にならないケース」といった5つの項目をチェックすることをおすすめします。順番に説明します。
補償の範囲は家族全員になっているか
個人賠償責任保険の大きなメリットは、加入者本人だけではなく配偶者や子どもも対象になることです。
そのため、家族全員が補償対象の保険を選ぶことをおすすめします。デフォルトで家族全員が補償対象のものもあれば、上位プランのみ家族全員が対象になるものもあります。
上位プランは、下位プランよりも補償範囲が広く、補償額も高い一方で保険料も高くなる傾向があるため、補償内容と保険料のバランスに注目しましょう。
補償額は億単位以上がおすすめ
個人賠償責任保険の保障額は億単位がおすすめです。
医療保険や自動車保険など、複数の保険に加入しているから個人賠償責任保険の補償額は少額でいいと考える方もいます。しかし、個人賠償責任保険は医療保険や自動車保険などと補償対象が異なるため、全く別の保険と考えるべきでしょう。
もし、子どもが自転車で人に衝突して後遺症を負わせてしまえば、億単位の損害賠償請求をされる可能性があります。そのため、最低でも1億円の個人賠償責任保険に加入しておくことが大切です。
無灯火運転をしていた11歳の小学生が62歳の女性に衝突し、後遺障害を負わせた事例では、9,521万円の損害賠償が確定しています※1。
※1 出典:国土交通省自転車事故の損害賠償に係る現状について
補償の重複に気をつける
複数の保険に個人賠償責任保険が付帯していると、補償内容が重複し、過剰になるため注意しましょう。
例えば、加入の義務化が推進されている自転車保険なども、メインの補償は個人賠償責任保険のため、自動車保険や火災保険などで既に加入している場合、別途入る必要性は低くなります。
示談交渉サービスを必要に応じてつける
示談交渉サービスとは、個人賠償責任保険の補償対象となるトラブルが起きた際に、相手方との示談交渉を代行してくれるサービスです。
自分で示談交渉をしようにも、こちらが相手に損害を与えている場合は、相手に強く出られると抵抗できないこともあるでしょう。
その結果、相場よりも高い損害賠償金を支払わされる恐れもあります。
示談交渉サービスを無料で利用できる場合と、保険料を増額すれば利用できる場合があるので確認しておきましょう。
支払い対象にならないケースを確認しておく
個人賠償責任保険は、他人に精神的なダメージを与えた際の損害などは支払い対象にならないことをお伝えしました。
その他にも、保険商品によって支払い対象にならないケースが定められている場合があります。
そのため、支払われるケースと支払い対象にならないケースの両方を事前にチェックしたうえで、加入するかどうか検討することが大切です。
まとめ
個人賠償責任保険は、被保険者とその家族が他人に与えた損害を補償する保険です。子どもがいる家庭では、特に必要性が高くなるため、加入を前向きに検討することをおすすめします。
補償内容と保険料のバランスを踏まえて、ベストな個人賠償責任保険に加入しましょう。